不法就労を防ぐ!外国人採用の在留資格ガイド

2025年6月11日
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不法就労を防ぐ!外国人採用の在留資格ガイド

不法就労を防ぐ!外国人採用の在留資格と労務管理の完全ガイド

外国人労働者を採用する際、「在留資格の確認が難しい」「文化や言語の違いでトラブルが心配」といった悩みを抱える企業は少なくありません。

適切な確認手続きや労務管理、コミュニケーションを工夫することで、トラブルを未然に防ぎ、信頼関係を築くことができます。

本記事では、在留資格の確認方法や労働条件の明確化、異文化対応のポイントを具体例とともに解説します。

外国人労働者が安心して働ける環境づくりを目指す企業必見の情報をお届けします!

本記事のポイント

  • 在留資格とビザの違いとは?
  • 就労可能な在留資格の分類
  • 外国人労働者の採用前に確認すべきポイント

外国人労働者の在留資格とは

外国人労働者の在留資格とは

外国人が日本で働くためには、一定の条件を満たす必要があり、そのための在留資格が設定されています。

在留資格は、職種や業種に応じてさまざまな種類があり、外国人労働者が日本で合法的に働くためには、適切な資格を取得することが求められます。

在留資格とビザの違い

「在留資格」と「ビザ(査証)」は、しばしば混同されますが、役割と機能が異なります。

「在留資格」と「ビザ(査証)」の役割

  • ビザ:日本への入国許可を得るための許可証
  • 在留資格:日本国内で特定の活動を行うための許可を指す

在留資格は、入国後に日本国内でどのような活動を行うかを定めるもので、出入国在留管理庁が管理しています。

一方、ビザ(査証)は、日本に入国しようとする外国人に対し、在外公館(日本大使館や領事館)が発行するもので、入国審査時に提示する必要があります。

例えば、観光目的で日本を訪れる場合、短期滞在のビザを取得し、入国審査を通過します。

しかし、長期的に日本で働く場合は、適切な在留資格(例技術・人文知識・国際業務)を取得しなければなりません。

両者の違いを正しく理解することが、適切な手続きと法令遵守につながります。

在留資格の基本的な考え方

在留資格は、外国人が日本でどのような活動を行うかに応じて分類され、その活動内容に基づき許可されるものです。

適切な在留資格を取得することで、許可された期間内に日本で活動できます。

日本の出入国管理及び難民認定法では、外国人の在留資格を活動内容や身分に基づき29種類に分類しています。

これにより、外国人が日本で行う活動が明確化され、適切な管理が可能となります。

例えば、大学で教育・研究活動を行う場合は「教授」の在留資格、企業で専門的な業務に従事する場合は「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が該当します。

在留資格は、外国人が日本で行う具体的な活動内容に基づき分類されます。

自身の活動に適した在留資格を取得することが、合法的な滞在の前提となります。

日本における在留資格の意義

在留資格は、外国人が日本で合法的に活動するための法的地位を提供し、日本社会の秩序と安全を維持するための重要な制度です。

在留資格制度は、外国人の活動内容を明確にし、不法就労や社会的トラブルを未然に防ぐ役割を果たしています。

これにより、日本社会の秩序と安全が保たれています。

例えば、適切な在留資格を持たずに就労した場合、不法就労とみなされ、強制退去などの法的措置が取られる可能性があります。

これは、在留資格制度が日本社会の秩序を守るために機能している例と言えます。

在留資格は、外国人の日本での活動を適切に管理し、日本社会の秩序と安全を維持するための重要な制度です。

外国人自身も、自身の在留資格を正しく理解し、遵守することが求められます。

就労可能な在留資格の分類

就労可能な在留資格の分類

日本における就労可能な在留資格は、外国人が日本で働くために必要な資格であり、その種類は職業や業種に応じて多岐にわたります。

在留資格は、大きく以下の3つに分類されます。

在留資格の分類

  1. 就労制限のない在留資格
  2. 就労制限のある在留資格
  3. 原則就労が認められない在留資格

就労制限のない在留資格

就労制限のない在留資格を持つ外国人は、日本国内での就労に制限がなく、自由に職業を選択できます。

これらの在留資格は、出入国在留管理庁が定める在留資格一覧表において、就労制限がないと明記されています。

「永住者」の在留資格を持つ外国人は、日本国内での就労に一切の制限がなく、どのような職業にも従事できます。

就労制限のない在留資格を持つ外国人は、日本国内で自由に職業を選択し、就労することが可能です。

就労制限のある在留資格

就労制限のある在留資格を持つ外国人は、特定の活動や職種に限定して就労が許可されています。

出入国在留管理庁の在留資格一覧表において、各在留資格ごとに許可される活動内容が詳細に規定されています。

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人は、エンジニアや通訳、デザイナーなどの専門職に従事できますが、単純労働には従事できません。

就労制限のある在留資格を持つ外国人は、許可された範囲内でのみ就労が可能であり、活動内容の変更や追加を希望する場合は、在留資格の変更手続きが必要です。

原則就労が認められない在留資格

原則就労が認められない在留資格を持つ外国人は、基本的に就労が認められていません。

ただし、資格外活動許可を取得することで、一定の条件下で就労が可能となる場合があります。

主な在留資格は、留学、文化活動などがあります。

これらの在留資格は、出入国在留管理庁の在留資格一覧表において、就労を目的としない活動として分類されています。

「留学」の在留資格を持つ外国人留学生がアルバイトを希望する場合、事前に資格外活動許可を取得し、週28時間以内の労働が認められています。

原則就労が認められない在留資格を持つ外国人が就労を希望する場合は、資格外活動許可の取得が必要であり、許可された範囲内でのみ就労が可能です。

外国人労働者の採用前に確認すべきポイント

外国人労働者を採用する際は、さまざまな法律や制度に関する確認が必要です。

適切な手続きを踏まないと、後々トラブルや労働問題が発生する可能性があります。

在留カードの確認方法

在留カードの真偽を確認し、記載内容が正確であることを確認することは、適法な雇用の第一歩です。

近年、精巧な偽造在留カードが出回っており、企業が知らずに不法就労者を雇用してしまうリスクがあります。

適切な確認を怠ると、企業側も法的責任を問われる可能性があります。

ある企業が在留カードの確認を怠り、結果として偽造カードを所持する外国人を雇用してしまい、不法就労助長罪で罰金を科されたケースがあります。

在留カードの確認は、企業の法的リスクを回避するために不可欠です。

適切な確認手順を踏むことで、安心して外国人を採用できます。

偽造カードを見抜くポイント

在留カードの偽造を見抜くためには、物理的特徴の確認と公式アプリの活用が効果的です。

在留カードには偽造防止のためのホログラムや特殊印刷が施されています。

また、出入国在留管理庁が提供する「在留カード等読取アプリケーション」を使用することで、カードの真偽を確認できます。

在留カードを傾けると「MOJ」の文字が浮かび上がるホログラムが見えるはずです。

これが確認できない場合、偽造の可能性があります。

また、公式アプリを使用してICチップの情報を読み取ることで、カードの真偽を確認できます。

物理的特徴の確認と公式アプリの併用により、偽造在留カードを効果的に見抜くことができます。

在留カードの記載内容の確認

在留カードの記載内容を詳細に確認することで、採用予定者の就労資格を正確に把握できます。

在留カードには在留資格、在留期間、就労制限の有無など、重要な情報が記載されています。

これらを確認することで、適法な雇用が可能となります。

在留カードの「就労制限の有無」の欄に「就労不可」と記載されている場合、資格外活動許可がない限り、その外国人を雇用することはできません。

在留カードの記載内容を正確に確認し、採用予定者の就労資格を把握することが、適法な雇用の前提となります。

就労資格証明書の取得方法

就労資格証明書は、外国人が自身の就労可能な活動内容を証明するための文書であり、出入国在留管理庁に申請して取得します。

就労資格証明書は、外国人が行うことができる収入を伴う事業や報酬を受ける活動を法務大臣が証明する文書です。

これにより、雇用主は採用予定者の就労資格を明確に確認できます。

外国人が転職を希望する際、新たな雇用主に自身の就労資格を証明するために、就労資格証明書を取得し提示することがあります。

就労資格証明書の取得は、外国人労働者と雇用主双方にとって、就労資格の確認を円滑に行う手段となります。

就労資格証明書とは

就労資格証明書は、外国人が日本で合法的に行える就労活動の範囲を証明する公式文書です。

出入国在留管理庁によれば、就労資格証明書は、外国人からの申請に基づき、その者が行うことができる収入を伴う事業や報酬を受ける活動を証明するものとされています。

ある外国人が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格でIT企業に勤務している場合、就労資格証明書を取得することで、その業務が適法であることを証明できます。

就労資格証明書は、外国人労働者の就労活動の合法性を明確に示す重要な文書です。

取得の流れと必要書類

就労資格証明書の取得は、所定の申請書と必要書類を準備して出入国在留管理庁に申請することで進められます。

以下が一般的な流れです。

就労資格証明書の取得

  1. 申請書の記入
    就労資格証明申請書を出入国在留管理庁の公式サイトからダウンロードし、記入。
  2. 必要書類の準備
    ・在留カードのコピー
    ・パスポートのコピー
    ・雇用契約書や採用内定通知書
    ・業務内容の詳細説明書
  3. 管轄の出入国在留管理庁へ提出
    書類を管轄の出入国在留管理庁に直接持参、または郵送。

外国人エンジニアが、新たに就職するIT企業での業務内容が現在の在留資格で適法か確認するため、就労資格証明書を取得するケースがあります。

この場合、雇用契約書や業務内容説明書を提出し、証明書を発行してもらいます。

就労資格証明書の取得は、外国人が合法的に日本で働くための安心材料となり、雇用主にとっても採用リスクを軽減する重要な手続きです。

資格外活動許可の有無の確認

資格外活動許可は、在留資格の範囲外の活動を行いたい外国人が取得すべき許可です。

採用前に許可の有無を確認することが必須です。

「留学」や「文化活動」など、就労が原則認められていない在留資格を持つ外国人がアルバイトなどの収入を得る活動を行う際に、資格外活動許可が必要です。

この許可がない場合、不法就労とみなされます。

留学生が飲食店で週20時間以内のアルバイトを希望する場合、事前に資格外活動許可を取得する必要があります。

許可を得ていない場合、そのアルバイトは違法となります。

資格外活動許可の有無を確認し、適切に手続きを行うことで、外国人労働者が合法的に就労できるようになります。

資格外活動許可とは

資格外活動許可は、現在の在留資格で許可されていない活動を行うために必要な法的許可です。

出入国在留管理庁では、収入を伴う活動や報酬を得る活動が、在留資格で認められる活動範囲を超える場合に資格外活動許可が必要とされています。

「留学」の在留資格を持つ大学生が、学業を優先しつつアルバイトを行う場合、資格外活動許可を得ることで週28時間まで働くことができます。

資格外活動許可は、在留資格に定められた活動範囲を超えた行動を合法的に行うために必要な重要な手続きです。

就労可能な在留資格の分類

採用後の労務管理と法的留意点

外国人労働者を採用した後は、適切な労務管理が求められます。

法的留意点を押さえた管理が行われていないと、後々トラブルを引き起こす可能性があるため、採用後も注意深い対応が必要です。

在留資格の更新と定期確認

外国人労働者の在留資格の有効期限を定期的に確認し、更新手続きを適切にサポートすることは、企業の責任として重要です

在留資格の有効期限が切れたまま就労を続けると、不法就労となり、企業も不法就労助長罪に問われる可能性があります。

ある企業が従業員の在留資格の有効期限を把握しておらず、結果として従業員が不法就労状態となり、企業が罰則を受けたケースがあります。

在留資格の有効期限を定期的に確認し、更新手続きを適切に行うことで、法的リスクを回避し、安定した雇用関係を維持できます。

更新期限の確認方法

在留カードに記載された在留期間満了日を定期的に確認し、更新手続きのスケジュールを管理することが重要です。

在留カードには在留期間満了日が明記されており、企業はこれを基に更新手続きのタイミングを把握できます。

ある企業では、従業員の在留カードのコピーを保管し、定期的に有効期限をチェックすることで、更新漏れを防いでいます。

在留カードの有効期限を定期的に確認し、適切なタイミングで更新手続きを行うことで、不法就労のリスクを未然に防げます。

更新に必要な書類

  • 在留期間更新許可申請書
  • パスポートおよび在留カード
  • 雇用契約書などの就労状況を証明する書類
  • 納税証明書や住民税の課税証明書

IT企業で働く外国人技術者が在留期間の更新を行う際、雇用契約書と最新の給与明細を提出し、スムーズに更新許可を得ました。

必要書類を事前に確認し、適切に準備することで、在留期間の更新手続きを円滑に進めることができます。

労働条件の適正な管理

外国人労働者に対しても、日本人労働者と同様に適正な労働条件を提供し、労働基準法を遵守することが求められます。

労働基準法は、国籍に関係なく全ての労働者に適用されます。

適正な労働条件を提供しない場合、企業は法的制裁を受ける可能性があります。

ある企業が外国人労働者に対して長時間労働を強要し、適切な賃金を支払わなかったため、労働基準監督署から是正勧告を受けました。

労働条件の適正な管理は、企業の法的義務であり、労働者の満足度向上にもつながります。

労働時間と給与の適正化

労働時間の管理と適正な給与の支払いは、労働者の健康と生活を守るために不可欠です。

労働基準法では、1日8時間、週40時間を超える労働は原則として禁止されています。

また、時間外労働を行った場合は、割増賃金の支払いが義務付けられています。

製造業の企業が、外国人労働者に対して適正な労働時間管理を行い、時間外労働に対しても適切な割増賃金を支払うことで、労働者の定着率が向上しました。

不法就労助長罪のリスクと回避策

外国人労働者の在留資格や就労資格を適切に確認し、不法就労を防止することは、企業の法的責任を果たす上で重要です。

不法就労助長罪の概要

不法就労助長罪は、在留資格がない、または就労活動が許可されていない外国人を雇用した場合に適用される犯罪です。

出入国管理及び難民認定法第73条の2では、不法就労を助長した事業主に対し、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があると定められています。

ある飲食店が在留資格を持たない外国人を雇用し、不法就労助長罪で罰金を科されたケースがあります。これにより、企業の信用も大きく失われました。

不法就労助長罪を防ぐためには、在留資格の確認を徹底し、就労可能な活動範囲を把握することが必須です。

違反事例とその防止策

不法就労助長罪を防止するためには、企業内での管理体制を整え、従業員教育を行うことが効果的です。

小売業の企業が、外国人労働者の在留資格をデジタル管理するシステムを導入したことで、不法就労リスクをゼロにした事例があります。

不法就労助長罪を防ぐには、管理体制を強化し、在留資格の遵守を徹底することが重要です。

これにより、企業の信頼性が向上し、長期的な事業の安定に寄与します。

まとめ

外国人労働者を採用・管理するには、在留資格の確認や適切な労務管理、文化の違いを考慮したコミュニケーションが必要です。

在留資格の更新漏れや不法就労のリスクを避けるため、定期的な確認と手続きの徹底が求められます。

また、労働条件の明確化や面談を通じたフィードバックは、信頼関係の構築とトラブル防止に効果的です。

適切なサポートにより、外国人労働者が安心して働ける職場を実現しましょう。

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